続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「麺処 ろくめい」【上尾】

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◆「麺処 ろくめい」【上尾】

 ◎「鶏白湯真鯛そば」七五〇円

 …遂に、到頭、唯一の生きる希望だった三連休も終焉の時が訪れる。
  胸焼け、胃凭れ、胃痛を伴う体調不良と、仕事の繁忙と相俟って、
  疲労困憊で迎えた三連休も、過ぎ去ってしまえばあっと言う間で、
  憎さと切なさと心細さと、何時も感じている…。
  当たり前だが、此の先、ずっと五連勤が続き、心身が持つ自信が丸で無い。
  明日からの険しい日常に備え、今日は成る可く、ヂッと大人しくして、
  心身の平穏を保つ様に努めたいが、買い出しと昼御飯だけは外に出よう。
  胃の不快感で、取り立てて空腹感は無く、食べずに遣り過ごす事も出来るが、
  いざ食べれば、少しは食べられるので、さっぱり目の物を少しだけ…。
  何だか、上品で淑やかな、麗しいラーメンを頂きたいと思い、候補を絞り、
  「自家製麺 コトホギ」と未訪の此方と天秤に掛け、新規開拓を試みよう。
  曇天の中、上尾へと自動車を走らせ、十二時半過ぎに現場に到着する。
  和を意識した佇まいで、紫紺に染め抜かれた暖簾が何とも粋で、
  瀟洒な造りの木戸を開けて中に入り、左側の券売機へと向かう。
  此方はと言うと、鳥取県産「大山鶏」で炊いたプースーに、坂戸市の老舗、
  「弓削多醤油」の生揚げ醤油を数種類配合した「中華そば」や、
  羅臼昆布、真昆布で取る和出汁に大量の海躄蟹を煮込んだ「海老塩そば」、
  濃厚な魚介豚骨の「つけそば」が主と言うが、予習の段階で惹かれた物が有る。
  「鶏白湯真鯛そば」と言う、あっさりし過ぎず、旨味が予見される物に決定。
  食券を購入し、満席なので暫し待ち、五分弱でヨッコイショーイチ。
  厨房内は御店主と若い女中さんの二名体制で、若い女中さんは接客、配膳、
  片付けが担当の様で、調理補助はさせていない様で、御店主は忙しそう。
  冷水を呷り、ヂッと待つ事にしょう。
  引っ切り無しに後続客が訪れ、昨年四月一日に新規開店と言うが、
  地元に根差した人気店と言った感じで、安定しているのだろう。
  さて、十五分程でラーメンが配膳され、黄金色のプースーが何とも眩しい。
  先ずは蓮華を手に取り、其の目映いプースーを啜る。
  プースーは、鶏ガラを中火で煮込み、あっさりと仕上げた鶏白湯に、
  同量の真鯛をこんがり焼いて煮込んだと言い、一口啜ると、鶏白湯の円やかで、
  こってりとした味わいと、滑らかな舌触りを感じるが、其の後を直ぐに、
  真鯛から溢れ出た芳醇な風味が追い掛けて来て、其の名の通り、鶏白湯で真鯛
  此れに、大山鶏の鶏油がたっぷりと、煌めく様に浮かび、コクを付加させる。
  不調気味な胃袋を優しく包み込む様な滋味が、堪らなく心地好い。
  御店主が独学で開業したと言い、向学心、探求心の賜物だろう。
  麺はと言うと、開店当初は桶川の「丸富製麺」の物を使用していた様だが、
  生憎、廃業してしまった様で、現在は「三河製麺」製の様だ。
  真っ直ぐな細麺は、加水率は低目で、噛むとバツっと千切れる。
  プースーに確りと絡み、纏わり付き、旨さを根刮ぎ絡め取る様だ。
  具も品が有り、鶏叉焼は胸肉で、しっとりとして優しく、上品な味付け。
  叉焼は低温調理と思しき物で、丸で、厚さの有る生ハムかの様。
  むっちりとした食感が何とも卑猥で、香りも良く、淑やかで気品溢れる感じ。
  味付け玉子は箸で持った途端にぷるんぷるんで、半熟度合いが一発で分かる。
  此方も味付けは薄口だが、黄身はねっとりとして、プースーと良く合う。
  具は他に海苔、三つ葉、葱、糸唐辛子。
  此れだけの具が乗って七五〇円と言うのは、費用対効果は十分過ぎる。
  余所の店では、下手したら「全部乗せ」とか「特製」と言う代物だろう。
  最後は滋養溢れるプースーを全て飲み干し、明日への活力に変える。