◆「煮干中華そば のじじR」【本所吾妻橋】
◎「煮干中華そば EX-HARD(エクストラハード)」九〇〇円
…昨日。
御医者に処方して貰った花粉症の薬物を服用しているが、今日は何だか、
鼻がむず痒く、頭もヴォーっとして、当然、目ん玉も痒く、仕事に成らない。
気温も高く、外套を羽織って電車に乗った日にゃ、汗が止まらない。
初夏の陽気にも拘わらず、如何して日本の電車はこんなにも暑いのか。
そんな電車に、羽毛の詰まった防寒着で、襟巻をして、手袋をして、
仕舞いには鼻と口を不燃布で覆って、平然としている人間を尊敬する…。
さて、話は遡って月曜日。
すっかり初夏の陽気で、少し歩けば汗だくだが、昼御飯は川を越えよう。
十三時に外に出て、花粉で空気が霞む中を、えっちらおっちら、
東京晴空塔の麓に向かって歩き、本所吾妻橋駅近くの此方に辿り着く。
扉を開けて中に入れば、嗅いだだけで痛風を患いそうな煮干し臭が充満している。
逸る気持ちを抑えつつ、先ずは券売機で食券を購入する。
予習した通り、「煮干中華そば」は「EASY」→「NORMAL」→
「HARD」と言う順で煮干しの度合いが激しくなる様なので、初訪店だが、
「HARD」の釦を押っぺそうと思った刹那、赤い「✕」が点っている。
何てこったいと、諦めて「NORMAL」の釦を押っぺそうと思った刹那、
其の下に「EX-HARD」と言う、基本的に金曜日に販売する限定麺が、
不定期で此の日に登場している様で、即座に最上級の激しい煮干しに決定。
食券を女中さんに手渡し、端っこの止まり木にヨッコイショーイチ。
冷水を呷り、出来上がりをヂッと待つが、後続客が続いている。
何でも、本店は宇都宮に在る「煮干中華そば のじじ」で、其の四号店と言う。
支店を出店出来るのだから、儲かっているのだろうと、味への期待が高まる。
五分強で目の前に、口が然程広くない、底の深い丼の御出座し。
如何にも煮干しと言う様な洋灰色ではないが、馨しい薫りが立ち上る。
先ずは蓮華を手に取り、プースーから啜ろう。
通常の「EASY」、「NORMAL」、「HARD」のプースーは、
丸鶏と豚骨の動物系と、煮干しが主体の魚介系出汁の合わせ技と言うが、
此の稀少な「EX-HARD」はと言うと、動物系の素材を使用せず、
数種類の煮干しのみで炊き出したと言い、煮干しの旨味が堪能出来ると言う。
動物系を使用していない所為か、粘度は低く、さらっとした口当たり。
そして、蘞味は旨味へと昇華し、仄かな苦味さえも心地好さを与えて呉れる。
もっと重厚で、ヅシンと来る様な物を想像しただけに、意外にも淡麗だ。
麺は「菅野製麺所」の物と言い、低加水のモソッとした真っ直ぐな麺。
噛むとバツっと千切れ、思わず心の中で若気てしまう。
此の手の麺は大好きで、粉の風味も感じられ、ツルツルした麺より好みだ。
叉焼はバラ肉で、一切れは大きくないが、厚味が有るので食べ出が有る。
むっちりとした弾力で、何とも卑猥な肉感で、脂身は蕩ける軟らかさ。
珍しいのは、麺麻が賽の目に切られており、シャキシャキと軽い歯触りで、
味付けは上品で、筍っぽさを感じられ、五〇円増しの「メンマUP」も良かろう。
煮干しラーメンには欠かせない、刻み玉葱のショリショリした食感と、
辛味の中に感じられる甘味が煮干し出汁と良く合い、白髪葱も小洒落ている。
う~ん、此の秀逸なプースーと麺なので、五〇円の「1UP(半替え玉)」、
二〇〇円の「CONTINUE(追い玉)」も悩んだが、グッと我慢…。
最後はプースーを確りと飲み干し、煮干しの滋養を残らず摂取して退店。
次回は、火曜日限定の「煮干中華そば HARD(裏Ver.)」や、