続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「牛たん・とろろ・麦めし ねぎし」【池袋】

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 ◎「しろたんセット」一六五〇円

 …月曜日。
  生きる希望、支えだった年末年始の九連休も、無情にもあっさりと終わり、
  有り触れた毎日に引き戻され、矢鱈と忙しい五日間を終える。
  業務上、一、四、七、一〇月は忙しいのだが、仕事始めと勝ち合うと更に厳しい。
  頭と身体の勘が戻らない儘、全人間的復権を目指し乍らの業務は疲労困憊。
  此の五日間で、一年分労働したかの様な疲れで、此の三連休は何もしたくない…。
  さて、話は遡って一月七日。
  仕事始めが誕生日で、こんなにも誕生日を迎えたくないと思ったのは、
  三〇歳を迎える時以来だろうかと、十三年前を回想する。
  九連休明けで慣らし運転、社会復帰に向けた機能回復訓練をしつつ、
  溜まりに溜まった残務を熟し、十四時過ぎに昼休憩、束の間の息抜きに出る。
  社会復帰初日、誕生日も相俟って、少しは踏ん張れそうな物を頂きたい。
  歩き乍ら彼是と思いを巡らせ、不意に、此方の看板を見付ける。
  此処最近、牛タンを欲し続けており、牛タンは「利久」に限るのだが、
  「牛たん炭焼 利久 エソラ池袋店」迄行く元気は無いので、此方に御厄介に。
  地下への階段を下りれば、女性ばかり、先客三組の待ちで参ってしまう。
  已む無しと判断し、ヂッと待ち、一〇分程で店内に案内される。
  カウンター席にヨッコイショーイチすれば、若い女性一人の客も数名居り、
  今や此方は、氷菓子か洋菓子の店と変わらない位置付けに成ったのか…。
  さて、献立表を捲り、「ねぎしセット」は牛タン薄切り五枚との事で、
  其れでは牛タンの良さが堪能出来ないので、牛タン厚切り三枚六切れと言う、
  「しろたんセット」を思い切って発注し、出来上がりをグッと耐えて待つ。
  目の前では、焼士と呼ばれる店員氏が、牛タンを焼いているのが見える。
  そして、思いの外早く、一〇分程で配膳される。
  僕の誕生日を祝うかの様な素敵な牛タンに、何とも嬉しい「タン生日」だ。
  焼いた牛タンの赤いルーシーが出てしまっているのは残念だが…。
  さて、先ずは主役の牛タンの実力を味わわせて貰おうじゃないか。
  此方の牛タンは愛蘭産、濠太剌利産との事で、此の「しろたん」は、
  タン元の軟らかい部位「白タン」で、牛タン一本から九枚しか取れないと言う。
  其れを切り、塩胡椒で味付けして焼き上げると言う。
  炭火ではないだろうが、遠赤外線で牛タンの表面を一気に硬化させる為、
  表面はパリッと、中はジューシーに、一枚の肉の隅々迄均一に熱を伝え、
  こんがりと焼き上げ、素材の内部に素早く浸透し、旨味成分を閉じ込める様だ。
  確かに軟らかさと香ばしさが感じられ、思ったよりも「利久」と遜色は無いか。
  「味噌なんばん」と一緒に頂けば、山形県産の青唐辛子と味噌との事だが、
  此れに関しては、「利久」の「南蛮味噌」の方が格段に良い。
  又、御香香の「おみ漬け」も山形青菜と言うが、此れも「利久」の御香香に軍配。
  牛タンを頬張れば、麦飯にとろろをぶっ掛けて掻っ込む。
  千葉県多古町産の大和芋で、水捌けが良く、肥沃な北総台地の火山灰土壌、
  年間を通して寒暖差の有る気候で育ち、味わいは自然薯に近く、
  肌理細やかで風味豊か、粘り、香り共に良く、出汁で割られている。
  個人的にとろろは大好きで、長芋よりも大和芋が良く、自然薯は憧れだな。
  麦飯の御替わりは自由と言うので、控え目に半分頂戴し、牛の尻尾の汁も啜り、
  存分に堪能し、仕事始めと誕生日の昼餐を満喫する四十三歳児…。