続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「らーめん 改」【蔵前】

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◆「らーめん 改」【蔵前】

 ◎「味玉煮干つけ麺」九二〇円

 …火曜日。
  はあ~。
  二〇一八年度も終わり、此れで、二〇年慣れ親しんだ名前が消えるとは、
  何だか虚しく、切なく、玉音放送を聴いた様な気分で、正に敗戦国だ。
  連合国軍総司令部の傘下に置かれ、マッカーサー元帥に統治される…。
  さて、話は遡って火曜日。
  最期の一週間も二日目。
  旨い物でも頂いて、少しでも気を紛らわせようと、此の日はプリン体摂取。
  三月十四日に満を持して初訪店し、人気店と言う情報の為に回避していたが、
  意外にもすんなりと入れる事が判明したので、十二日振りに再訪。
  今回も待ちは無く、店内に入れば、空席が一つ有り、何たる幸運。
  長生きはしてみるものだ…。
  券売機と対峙し、前回は此方一押しの「貝塩らーめん」を頂いたので、
  今回は、もう一方の主力である「煮干つけ麺」にすると決めていた。
  生意気にも、「味玉煮干つけ麺」の釦を押っぺしてしまう。
  女中さんに食券を手渡し、冷水を汲み、奥の止まり木に座る様に促され、
  狭い店内、客の背後を蟹歩きで伝い、何とかヨッコイショーイチ。
  厨房内は前回同様、男性店員氏三名、女性店員氏一名の四人体制の大所帯で、
  人時売上高が気に成ってしまうが、其れだけ儲かっていると言う事だろう。
  冷水を呷り、薄ぼんやりと、蜉蝣の様に、ヂッと待つ。
  一〇分強で、馨しい煮干しの薫りを漂わせ乍ら、目の前に配膳される。
  いやはや、洋灰色をして、丸で土木建築用無機質接合剤を溶かしたかの様だ。
  麺の上の叉焼と海苔をつけ汁に移したら、さあ、取り掛かろう。
  麺を手繰り、つけ汁にドヴンと浸し、一気に啜り上げる。
  嗚呼、煮干しの風味がガツンと味覚に訴え掛け、動物系の出汁も確りとしていて、
  とろみが有り、粘度は中々で、此れは此れは、恐れ入谷の鬼子母神
  煮干しの蘞味も主張しており、人工的なえげつない甘味が無いのも好印象。
  此方は青梅の名店、鯛と海老で有名な「らーめん・つけめん いつ樹」、
  支店の「らーめん 五ノ神製作所」の御出身と言う事で、「貝塩らーめん」含め、
  魚介系の使い方が絶妙で、培った手法が確りと活かされているのであろう。
  麺はと言うと、「貝塩らーめん」はヴィラヴィラの平打ち麺だったが、
  つけ麺は全粒粉入りの太麺で、つけ汁が否が応でも確りと纏わり付き、
  もっちりとした腰と弾力が素晴らしく、粉の風味が煮干しの手を引いて、
  鼻腔を駆け抜けて行く感覚は、ずっと噛んで居たいと思う。
  さて、叉焼はと言うと、若い婦女子の肉襞を思わせる桃色をしており、
  つけ汁に浸かっている部位は熱が入り、徐々に、年嵩を増した婦女子の色に…。
  むっちりとした食感が何とも卑猥で、低温調理の良さを存分に味わえる。
  味付け玉子は、齧ると黄身がドピュっと飛び出しそうな感じだが、
  ねっとりと車厘状、味付けは甘目で、つけ汁に浸し乍ら頬張れば最高だ。
  具は他に細目の麺麻、海苔、葱。
  麺の量は二四〇瓦と言い、ぺろっと平らげてしまい、一瞬、此の旨さに、
  「煮干油和えそば」を追加発注しようとするも、断腸の思いで我慢し、
  最後はつけ汁をグイッと飲み干し、近日中の再訪を決定して退店。
  不定期で限定ラーメンを提供している様なので、其方にも期待したい。