◆「らーめん 改」【蔵前】
◎「イカ煮干らーめん+味玉」九三〇円
…木曜日。
新年度、新組成、月初と言う事も有り、今週は矢鱈滅鱈忙しく過ぎ去り、
仕事は終わらない、時間は足りない、残業は出来ない、無い物尽くし。
来週からは引き継ぎも本格化し、より一層、ぐったりするのだろうな。
今から心がぞみぞみして来る…。
さて、話は遡って一昨日。
そんな調子なので、昼御飯を抜いてでも時間が欲しい程だが、其れをしては、
此の脆弱な心は、いとも簡単にもっきりと折れる自信が大いに有るので、
気分転換も兼ねて外に出て、外気を吸って光合成し、人間らしさを味わいたい。
十三時半に飛び出し、向かった先は、身体が煮干しを欲するので此方へ。
三月二十六日以来、十六日振りに御邪魔すれば、おっと、店外に三人の待ち。
先に店内で食券を購入するが、前回の「煮干つけ麺」を頂くつもりで来たが、
此の日は確りと、券売機上の限定ラーメンの貼り紙が目に入る。
ん!?「イカ煮干らーめん」とな。
通常の片口鰮や潤目鰯や、他には鯵や鯛の煮干しラーメンは頂いた事が有るが、
烏賊煮干しとは初めてなので、予定変更で「イカ煮干らーめん+味玉」に決定。
女中さんに食券を手渡し、暫し、外で待機し、味の想像を巡らせる。
一〇分程で店内へと案内され、冷水を汲み、止まり木にヨッコイショーイチ。
先に食券が回収されていたので、五分強で丼が差し出される。
手元へと下ろせば、あらっ、小洒落ちゃって。
プースーの色は、通常の煮干しの洋灰色と言うより、茶褐色が強め。
先ずは蓮華を手に取り、プースーから啜ろう。
嗚呼、濃厚でコクの有る味わいが瞬時に伝わって来る。
思いの外、烏賊臭さは無く、仄かに烏賊の独特の風味が感じられる。
烏賊煮干しは腸や烏賊墨も入っているのか、ほろ苦さが心地好い。
烏賊煮干し白湯スープとの事だが、ドロッとした感じは無く、粘度は低目。
此れは、癖が有る様で抑えられており、絶妙な線で平衡を保っている感じ。
麺は、此方では初めて頂く細麺。
煮干しラーメンでは御馴染みのバツっと千切れる麺。
昨年迄は「煮干らーめん」を提供してた様なので、以前は味わえただろうが、
「貝塩らーめん」はピロピロの平打ち麺、「煮干つけ麺」は全粒粉入り太麺と、
現在は此の手の限定ラーメンの時ではないと頂けないので貴重だ。
張りと腰の効いた食感で、濃厚でコクの深いプースーと確りと絡む。
さて、此の丼で一際目を引くのが油揚げの巾着だろう。
噛んだ途端に烏賊墨が逆噴射したら嫌だなと、恐る恐る齧ってみる。
中には味付けされた鶏挽き肉と蓮根が詰められており、実に手が込んでいる。
気が利いていると言うか、洗練されていると言うか、恐れ入谷の鬼子母神。
しっとりとして、噛むとむっちりとして、生ハムの様な感覚を味わえる。
個人的には、低温調理の叉焼には余り惹かれないのだが、此方のは好感が持てる。
二〇〇円の「チャーシュー増し」にするのも良かろうな。