続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「らーめん 元楽」【蔵前】

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◆「らーめん 元楽」【蔵前】

 ◎「特製元らーめん」六五〇円

 …生きる支えの週末の休日も、あっと言う間に、いとも簡単に、脆くも終わる。
  昨日は毎年恒例の花見を、飛鳥山に登って、朝八時から決行し、
  十五時に御開きと成り、十六時には帰宅すると言う健全さ。
  如何せん、サザエさん症候群の症状が重たいので、翌日が仕事の日の夕方以降、
  外に居ると言うのは、精神的に怖く、家で大人しくヂッとして居たい…。
  昨日の酒は残っていないものの、一週間の始まりは実に重苦しい。
  況してや、雨が降っていたら尚更だ。
  どんよりとした鉛色の空の様な気分で、満員電車に揺られて出掛ける。
  今週も引き継ぎやら何やらで、ぐったりする事、間違い無し。
  そんな週明けの憂鬱な気分に立ち向かうには、旨い物しか太刀打ち出来ない。
  二月十九日以来、約一ヶ月半振りの此方に御邪魔してみよう。
  回避していた理由は、此方に来たらば、「特製元らーめん・こぶためし」、
  此の魅惑的な組み合わせを発注したい欲求に打ち克つ自信が無く、
  折角、幾らか痩せて来ている所に、全てが台無しに成りそうで…。
  十三時前に到着し、趣きの有る引き戸を開けて中に入り、券売機と向き合う。
  今日は何としても「特製元らーめん」だけ、「特製元らーめん」だけと、
  心の中でマントラを唱え、一瞬、悪魔の囁きが聞こえ、券売機の一番目立つ、
  左上の「特製元らーめん・こぶためし」の釦が訴え掛けて来る。
  然し、今日の僕は違った。
  質実剛健、剛毅木訥、典型的な日本男児なので、目を瞑り、深呼吸をして、
  静かに「特製元らーめん」の釦を押して食券を購入する。
  食券をおやっさんに提示すると、「背脂たっぷりのラーメンですが」と訊かれ、
  こちとら、其れが御目当てなので、何ら問題無い旨を伝え、冷水を汲み、
  止まり木にヨッコイショーイチし、暫し、息抜きの憩いの一時を愉しむ。
  厨房内には男性店員氏四人体制で、デュークエイセスと同じ編成。
  柄杓でプースーを掬って注ぎ、笊で背脂をチャッチャと振る様子を眺める。
  そして、一〇分弱で、外側迄、びっちりと背脂が付着した丼が目の前に。
  ヌルっとして、手を滑らせて引っ繰り返さない様、慎重に手元へ下ろす。
  先ずは蓮華を手に取り、プースーから啜ろう。
  初め、味が薄いかなと思うも、下に醤油ダレが溜まっており、
  底から掬って啜れば、うん、丁度良い塩梅へと変化する。
  キリっとした香ばしい醤油ダレの切れ味が良く、塩気も絶妙だ。
  豚骨スープには、豚骨の中でも大腿骨である拳骨だけを使用し、
  軟骨部分が多く、膠原質を多く含んでいる為、長く煮込むと車厘状に成り、
  円やかな味になると言い、徹底的に灰汁を取り乍ら、野菜、鶏ガラ等と一緒に、
  三日間煮込み、濃厚なスープを作り出すと言う触れ込みで、濃厚で居て、
  諄さは無く、意外にもさっぱりとした印象で、胃凭れはしなさそうだ。
  主役とも言うべき背脂は、厳選した物を炒め、下茹でし、手洗いして、
  余分な脂肪や汚れ、灰汁を取り去り、豚骨スープで二時間煮込むと言う。
  嗚呼、矢張り、此れは旨い。
  麺はと言うと、此方では五種類の麺を使い分けていると言い、
  此の「特製元らーめん」には、中太の真っ直ぐな麺を使用している。
  背脂を根刮ぎ絡め取る様な感じで、スルスルと入って来て心地好い。
  具の叉焼は、厳選した豚のバラ肉を使用し、丁寧に一本ずつ筋切りして、
  余分な脂身を削ぎ落とし、一九九五年の創業以来受け継がれて来た秘伝のタレで、
  肉の美味しさを閉じ込めたと謳い、一本二八〇〇円で店内でも販売している程。
  蕩けると言う感じではないが、箸で切れる程に軟らかい。
  具は他に、濃い目の味付けが良いロイクーな麺麻、茹で玉子半個、葱。
  箸を持つ手が止まらずに一気に平らげ、最後はプースーを残らず飲み干し、
  無事に給油も完了し、午後の業務に戻る低性能おぢさん…。