…金曜日。
五月二日から博多を訪れ、此の日が二日目にして中日。
折角、未踏の地・福岡県へ来たのだから、序とばかりに、もう一県、
正午も過ぎたので、唐津で食事をしても良かったのだが、目星が付かずに断念。
其の儘、博多どんたくの始まった福岡市内へと戻る。
…十四時前だが、店頭には数名の待ちが発生しており、一〇分程、暫し待機。
相席で良ければ、食卓席が空いていると言うので、時間も勿体無いので、
先客の御家族に断りを入れて謝り、歩き疲れてヨッコイショーイチ。
透かさず、ルービーとラーメンを発注し、先ずは手酌で昼間っから飲る。
季節はすっかり真夏で、鼻から椰子の木が生え始めそうな勢い。
暑気払いと、博多どんたくに乾杯して、グイっと呷る。
博多っ子ではないが、埼玉っ子だが純情だ…。
…麦酒を一頻り呷っていると、半分を過ぎた辺りでラーメンの御出座し。
最初で最後と成るかも知れないので、折角なので、全部が入った豪華版を発注。
此の前日、博多駅十二時二十四分に到着して、最初の昼御飯にと、
「博多デイトス店」に行こうと試みるも、土地勘の無い観光客が考える事は同じ。
駅に近く、何でも揃う此の手の施設に殺到するのは当然で、とんでもない混雑。
待ちを検討する事は微塵も無く、潔く諦めた経緯が有ったので復讐…。
抑々、何故、数在るラーメン店の中から此方を選択したのかと言えば、
そんな情報を元に、此のラーメンをじっくりと味わおう。
先ずは蓮華を手に取り、プースーから啜ろう。
東京でさんざっぱら、「よかろうもん」や「博多長浜らーめん 田中商店」、
「博多長浜らーめん ぼたん」等、獣臭、家畜臭満載のラーメンを頂いて来たが、
随分とあっさり、さっぱりとしていて、諄さや臭味は丸で無い。
尤も、久留米ラーメンではないので、呑んだ後でもサラッと頂ける味わい。
一九七一年に屋台で創業し、其の当時からの味を受け継いだと言うプースーは、
国産豚の豚骨のみを使用し、丁寧な下処理で臭味を消していると言い、
火力や時間の調整に依り絞り出し、癖の無い円やかな味と謳う通り、
ややとろみが感じられる割りには、あっさり味。
茹で加減を普通で御願いした麺は極細麺で、軟らか目の印象。
此の細麺は元来、魚市場の競りの合間に遣って来る労働者を待たせないよう、
麺の茹で時間を短くする為に生まれたと言う。
中盤、卓上の紅生姜を投入。
ハムの様な感じの赤身の部位が殆どの物で、肉肉しさが感じられる。
「煮玉子(半熟味玉子)」は黄身がねっとりとして秀逸。
雲呑は餡が少ない、皮が主体の物で、チュルンとして粉物の旨さが有る。
他には辛子高菜、葱。
御約束で替え玉を「ばりかた」で発注し、卓上のラーメンたれを投入して頂く。
「スーパー粉落とし」が好みだが、此れでも十分に堪能。
最後はプースーを飲み干し、豚骨の髄液も摂取して退店。
~御負け~
唐津城。
唐津湾には三艘以上でもヨットが複数浮かぶ。