続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「手打ち蕎麦処 東都庵 駅前店」【上田】

◆「手打ち蕎麦処 東都庵 駅前店」【上田】

 

 …昨日。

  金曜日に総合的健康診断の為に有給休暇を充てたので、実質四連休中。

  既に、残り僅かな蟬の命の如く、風前の灯火と言った週末の休日。

  此の連休一番の催しは、上田へと足を伸ばす事。

  「ニッポン城めぐり」に於ける上田城攻略、真田氏登用を始め、

  「ケータイ国盗り合戦」の「夏の陣」に於ける白糸の滝も制覇しようと試みる。

  其れともう一つは、玉子を買いに行く事。

  子供の時分、夏休みに上田の祖父母の家に出掛け、朝御飯で食べた生玉子の味と、

  数年前に「上田東急REIホテル」に宿泊し、朝食で頂いた生玉子の味が同じで、

  普段、日常生活で頂いている生玉子の味とは異なり、郷愁も相俟って非常に旨く、

  是非とも、其の玉子を探し当てたいと思い立ったので…。

  朝は八時に出立し、東松山出入口から関越自動車道に入り、藤岡の分岐から、

  上信越自動車道に入り、佐久出入口から出たのは十一時前。

  東信地方で有名な玉子の販売所「ちゃたまや」に行けば手掛かりが有るかもと、

  二種類の玉子を購入したら、さあ、昼御飯だ。

  上田と言えば蕎麦、蕎麦と言えば「刀屋」と決まっている。

  正午の五分前に到着すれば、ん!?行列が無いぞ。

  ぢぇぢぇぢぇ!何てこったい、定休日…。

  三連休だから営業しているだろうと、全く疑わず、確かめなかったら此の始末。

  相変わらず、粗忽と言うか、運が無いと言うか、生きているのが嫌に成る…。

  さて、次の当てを探さないといけないが、過去に御邪魔した事の有る此方、

  上田城向かいの「本店」ではなく、「駅前店」へ。

  営業して居そうなので、時間貸し駐車場に停め、地下に在る飲食店街に向かう。

  暖簾も出ており、空席も有り、やっとこさっとこ、何とか落ち着く…。

 

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 ◎「馬刺し」一〇〇〇円

 …さて、献立表を捲り、何を頂こうか物色して発注。

  二〇一〇年三月十七日に出張で訪れた際も頂いた、信州名物の馬刺し。

  自動車なので呑めないのが悔しいが、肉を生で頂ける機会は逃さない。

  件の様に、子供の時分、盂蘭盆会に祖父母の家に行った際の食卓に、

  馬刺しが必ず並び、信州で暮らした事は無くても、随分と身近な存在だ。

  薬味は卸生姜と卸大蒜が付いており、夫々をタレに溶かして頂く。

  口に入れると、ひんやりとして、此れを噛み締めるとねっとりと濃厚で、

  じんわりと脂が融け出し、口内が旨味に乗っ取られる。

  赤身の部位なので、確りとした噛み応えが有るが、噛めば噛む程に旨味が増す。

  嗚呼、此れを肴に蕎麦焼酎の蕎麦湯割りを飲りたい…。

 

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 ◎「もり」七〇〇円

 …馬刺しの旨さに打ちのめされていると、蕎麦の御出座し。

  蕎麦は奇を衒わず、潔く「もり」、此れに限る。

  蕎麦つゆに薬味の大根卸、葱、山葵を投入したら、蕎麦を手繰って啜る。

  勿論、つけ麺の様に、つけ汁をドヴンとは浸さず、三分の二程で。

  チンカチンカに冷たく、確りと冷水で〆られており、仕事に抜かりは無い。

  蕎麦つゆはきりっとした辛目の味わいで、淡麗で引き締まった感じ。

  さっぱりとして、蕎麦の冷たさと相俟って涼やかで良い。

  蕎麦は「刀屋」に比べると細いが、手打ちだけあり、不揃いな感じに好感が持て、

  ぽきぽきと音がしそうな腰が効いており、程好い滑りで口当たりが良い。

  際限無く、するすると喉元を通り過ぎて行き、二、三分で啜ってしまう。

  創業明治二〇年と言う老舗だけあり、店内には池波正太郎三遊亭圓生等、

  名立たる著名人の色紙が有り、其の歴史も感じ取る事が出来る。

  最後は蕎麦湯を堪能し、玉子探し午後の部に向かう高血清脂質おぢさん…。

「うなぎ 魚庄 大宮店」【土呂】

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◆「うなぎ 魚庄 大宮店」【土呂】

 

 ◎「鰻重(並)」二六〇〇円

 

 …昨日は有給休暇を充て、総合的健康診断を受診した為、実質的に四連休。

  其れももう二日目かと思うと、苦しさと切なさと心細さしか無い。

  昨晩は久し振りに鯨飲馬食したので、今朝は起きられず、八時過ぎに這い出す。

  風呂に入って身を清め、全うな人間に戻り、午前中は極めて自堕落に、

  非生産的に過ごすが、十一時にホスピタりに出掛け、正午に帰宅。

  今日は大人しく、ヂッとして居ると決めたが、家に居ても昼御飯が無い。

  食事を摂りに外に出るが、連休と言う浮かれ気分から、如何しても贅沢したくなる。

  と言う訳で、昨年七月一日以来、一年二ヶ月振りに此方へ。

  蓮田に本店を構え、創業明治十六年と言う老舗だけに、味は一級品だ。

  十三時半に迫ろうと言う時間に着けば、前回の様な大勢の待ちは無く、

  狭い食卓席で良ければ空いていると言い、問題無いのでヨッコイショーイチ。

  女中さんから、狭くて申し訳無いと謝られ、献立表を見て発注。

  前回の初訪店時は「上」を頂いたが、今回は「並」で我慢、我慢…。

  受注してから鰻を捌くと言うので、此処は一つ、じっくりと腰を据えて待つ。

  緑茶を啜りつつ、二〇分程経った頃合いで、御重が配膳される。

  高まる期待を胸に、御重の蓋を開けてみよう。

  シマウラのローターがバコタマテをプンオーするかの様に。

  もくもくと煙りは上がらず、何とも馨しく香ばしい薫りが立ち上る。

  前回の「上」と比較したら何だが、白い部分が多いのは致し方無い事と理解。

  矢も楯も堪らずに箸を入れれば、いとも簡単に千切れる軟らかさ。

  一口大にして、此れを頬張れば、此の上無い至福が訪れる。

  毎日厳選された新鮮な鰻を仕入れ、注文が入ってから鰻を捌き、

  創業当時からの秘伝のタレでじっくりと焼き上げると言う拘り。

  皮はパリッと香ばしく、高温の炭火でじっくりと焼き上げられたのが窺え、

  中は驚く程にふっくらとして肉厚で軟らかく、歯が要らない程の蕩ける食感。

  タレは甘目だが、諄さや甘ったるさは無く、あっさりとさえ感じる。

  卓上の山椒を少し多めに振り掛ければ、痺れる刺激と薫りが心地好い。

  米の炊き加減も絶妙で、軟らか過ぎず、気持ちやや硬めでぱらぱら感が有る。

  かと言って、パサついてる訳でなく、ふっくらとした艶々と輝いている。

  御香香も豪勢で、奈良漬け、紅生姜、牛蒡、胡瓜、甘藍と入る。

  肝吸いは薄味だが、上品で宜しい。

  食べ切ってしまうのが惜しいが、あっと言う間、一瞬で平らげてしまう。

  石油を掘り当てたなら、もう少し頻繁に鰻が頂ける様に成るかしら。

  とは言え、石油の掘削作業すら始めていないが…。

「ジャンクガレッジ 大宮駅前店」【大宮】

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◎「まぜそば 玉子あり(並盛)」七八〇円

 

…昨晩。

 昨日は有給休暇を宛がい、朝っぱらから年に一度の総合的健康診断を受診し、

 大宮駅に戻り、十六時過ぎに「いづみや第二支店」で独りぼっちで零次会、

 十七時半前からは河岸を替えて「大宮酒場 もつ焼きエビス参」で独りぼっちで一次会。

 そして、二十二時を前に〆ようと、大栄橋を歩いて渡り、再度東口に戻り、

 「ジャンクガレッジ 大宮駅前店」で独りぼっちで二次会。

 要するに、ずっと独りぼっちな訳だ…。

 硝子戸を開けて店内に入れば、二人程の待ちだが、食べ終わって出る客も居る。

 其れと入れ替わる様に店内に入り、券売機で食券を購入する。

 もう、ちゃんと「並盛」で我慢出来る堪え性は備わっているので、大丈夫だ。

 下げ膳を待ち、冷水を汲み、程無くしてヨッコイショーイチ。

 厨房内は男性一名、女性二名の三人体制で、当時のdosと同じ編成。

 尤も、今現在の性別で言うなら、女性三人と言った方が正確なのだろう…。

 そんなKABA.もとい、馬鹿は兎も角、無料の乗せ物を訊かれ、

 「全増し、脂ダブルで」と、総合的健康診断が終わった解放感から発注。

 冷水を呷って酔いを醒まし乍ら待ち、一〇分強で丼が差し出される。

 六月二十九日以来、二ヶ月半振り対面だが、相変わらず暴力的で良い。

 箸を手に取り、先ずは御決まりの作業に取り掛かる。

 中央の温泉玉子を中心に、全体をざっくりと、味が均一化しては面白味が無いので、

 ざっと攪拌するのが混ぜ蕎麦の醍醐味でもある。

 鰹節、揚げ大蒜、揚げ玉葱、茹で野菜に加え、無料の乗せ物の「ニンニク」、

 「アブラ」、「チーズ」、「ベビースター」、「エビマヨ」、「辛味」と、

 麺、テレレをぐちゃぐちゃに、ぴちゃぴちゃ、にちにちと卑猥な音を立て乍ら、

 豚はテレレと麺が熱い内に、丼の底に潜り込ませ、其の熱で戻して軟らかくさせる。

 勿論、ズーチーも同様、熱で蕩けさせたら、箸で手繰って啜ろう。

 鰹節の馨しい香りが鼻腔を擽り、初めの内は「エビマヨ」が強めに感じられ、

 ズーチーが蕩けて円やかにさせ、「ベビースター」のカリポリした安っぽい食感、

 大蒜のガツンと来る刺激と辛さが伝わり、此の暴力的な味を身体が待ち望んでいた。

 テレレは秘伝の醤油タレに、要と成る旨味が凝縮されたスープを合わせ、

 麺と混ぜ合わせ、大蒜と黒胡椒の効いた濃厚な後引く味わいと言う触れ込み。

 プースーは拳骨、鶏ガラ、背ガラ、モミジ、香味野菜を八時間丹念に炊き込み、

 旨味だけを凝縮し、ゼラチン質たっぷりのスープに背脂を投入する事で、

 凝縮されたスープにコクと旨味と甘みが加わり、麺との絡みが格段に増し、

 混ぜた瞬間に麺を離さない、パンチの効いたスープと言うのが謳い文句。

 麺は御馴染み、「ニッセーデリカ」の特注麺。

 強靭な腰を持つごわごわした極太麺は、強力粉オーションだけで打たれ、

 強い小麦の風味を持ち乍らも独特の食感を持ち、ジャンクなスープに負けない、

 強靭な歯応えと食べ応えが売りで、畝った縮れ麺はもちもち感が強い。

 喩えるなら、内藤やす子の蕎麦ージュ頭の様とでも言おうか。

 豚はと言うと、前回は近年稀に見る出来栄えだったが、今回は及第点と言った塩梅。

 今の「ジャンプ」の御店主が、東大宮本店を立ち上げた当時の味を知るだけに残念。

 ぺろりと平らげ、「追い飯」用にと「ライス」の取り扱いを始めているが、

 デヴなので、其の儘にテレレを飲み干し、丼を上げ、台を拭き、御馳走様。

 素晴らしい四連休の幕開けだ…。

「大宮酒場 もつ焼きエビス参」【大宮】

「大宮酒場 もつ焼きエビス参」【大宮】

 

…昨晩。

 昨日は有給休暇を充て、両国へ総合的健康診断に出掛け、朝っぱらから硫酸鋇と、

 発泡剤三回分を飲まされた挙句、ぐるぐる廻されたり、逆さ吊りにされたり、

 江戸時代の拷問の様な目に遭った後は、ぶらぶらとのんびり過ごし、

 十六時過ぎに大宮駅に舞い戻り、「いづみや第二支店」で独りぼっちで零次会。

 十七時も廻ったので、反対口へと渡り、華金を堪能すべく、独りぼっちで一次会。

 店内に入れば、此の日の一番乗りの客と成り、止まり木にヨッコイショーイチ。

 

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 ◎「ホッピーセット(白)」五〇〇円

 …さて、先ずは何時ものピーホツをロイシーで発注。

  前回は焼酎を入れ忘れられると言う、如何してこんな事が起きるのかと、

  僕ならではの憂き目に遭ったが、今回は確りと焼酎は致死量が充填されている。

  此れを割ってグイッと呷れば、胃袋の硫酸鋇が蹴散らされて大腸へと追い遣られる。

  御通しは竹輪の磯辺揚げ。

 

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 ◎「レバ刺し」四八〇円+「タン刺し」五五〇円

 …御店主の姿が無かったが、不意に「レバ、タン?」と奥から登場し、

  「御願いします」と返せば、直ぐ様、発注が通る。

  何は無くとも、此の二品が無いと、華金の幕は上がらない。

  低温調理済みの肉刺し的な逸品は、レバ刺し狩り以降、僕を満たして呉れている。

  「レバ刺し」は胡麻油と塩のテレレで頂く。

  ぷりっとした弾力、コリッとした歯触り、濃厚に蕩ける肝臓の旨味が秀逸で、

  噛んで居ると甘味がじんわりと広がり、僕の脂肪肝も悦んでいる。

  「タン刺し」は醤油味の特製のテレレで頂く。

  しっとり、むっちり、コリッと、幾つもの食感、口当たりを堪能出来、更には、

  程好く脂も乗り、豚とのデープキッス、熱いヴェーゼを交わすのが大好きだ。

 

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 ◎「青とうやっこ」三八〇円

 …さて、前回久し振りに頂いて、矢張り旨いと実感した此れを発注。

  あっと言う間に配膳される。

  豆腐のひんやりとした冷たさと、青唐辛子の醤油漬けの辛さが絶妙に絡み合う。

  辛味で口内が燃える様に熱くなり、其れを冷やすべく、ホッピーを流し込む。

  此の一連の動作が心地好い。

  尾籠な話で恐縮だが、今朝、排便をしたらば、尻の穴毛が全焼する勢いで悶絶…。

  其れ以上食べたら、恐らく、尻からプイッと何かが出ていたに違いない。

 

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 ◎「タン刺し」五五〇円

 …ホッピーを三杯頂き、すっかり空っぽに成ってしまったので、追加発注。

  そして摘みも頂こうと、再度、豚と熱い情熱キッスを交わそうと「タン刺し」で。

  此れは際限無く、無限に頂けると思う。

  噛み締めると肉の旨味が感じられ、食感も素晴らしく、勿論、仕込みの技も光る。

  卸大蒜も重要で、華金とも成れば、存分に摂取したく成ってしまう。

 

 ホッピー五杯を呷った所で、周囲の客も囂しく成り、心がぞみぞみして来たので、

 大蒜に触発され、〆に向かおうと会計し、「行ってらっしゃい」と送り出される…。

「いづみや第二支店」【大宮】

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◆「いづみや第二支店」【大宮】

 

 ◎「酎ハイ」三五〇円+「名代もつ煮込み」一七〇円

 

 …昨日。

  今週も何とか、週末の休日に逃げ込んだ感は有るが、今週は颱風に始まり、

  何かと慌ただしく過ぎ去った感じで、狂った様な暑さも戻って疲労する。

  そんな中、金曜日は年に一度の総合的健康診断の為、有給休暇を充て、

  何時もより四十五分も早い六時半前の電車で、両国へと出掛ける。

  今年から病院が替わり、両国は初めてなので、道に迷わない様に注意が要る。

  帰り道の事を考えて、両国駅からは麺麭屑を撒いて目印を付け乍ら何とか到着。

  八時からの検診開始で、胸部間接撮影で軽く被曝して始まり、血圧、視力、

  血液検査では相変わらず血管が細くて出ない様で、熟女看護婦を困らせ、

  其の罰として、より細い注射針で手首から血を吸い取られると言う酷い仕打ち。

  肺活量、聴力、腹部の超音波検査では、熟女看護婦とローションプレイ…。

  問診の後の心電図では、身体に通電されてビリビリして骨が見えた後は、

  胃部間接撮影では、曖気を我慢したのに、まさかの発泡剤を三回も飲まされ、

  ぐるぐると廻されたり、逆さ吊りにされたり、踏んだり蹴ったりの目に遭わされ、

  最後は眼圧検査で目ん玉に風を当てると言うドッキリに遭って一時間で終了。

  もう、朝からおぢさん、ぐったり…。

  帰りは目印の麺麭屑を頼りに両国駅へと戻り、ぶらぶらとして一日を過ごす。

  十六時過ぎに大宮駅へと戻り、華金なので、ぶらり途中下車の旅

  一次会の場所は決まっているので、先ずは其の前に独りぼっちで零次会。

  と言っても、一次会も二次会も独りぼっちだが…。

  紺の暖簾を跳ね上げて入ったのは、大宮駅東口の象徴と言うべき此方。

  其の昔、今より更に駄目だった時分、酒浸りで入り浸っていた。

  出入口付近の止まり木にヨッコイショーイチし、女中さんを呼び寄せて発注。

  同時に持って来て呉れたのは、酒場の定番の酎ハイともつ煮込み。

  先ずは景気付け、総合的健康診断の打ち上げに、酎ハイをグイッと呷る。

  何とも言えない、駄目に成る味で背徳だ。

  そして、摘みは勿論、「名代」と謳う一七〇円のもつ煮込み。

  「もつ煮の店 まつい」、「もつ煮本舗 まるぶん」、「永井食堂」と言う、

  名立たる名店に先駆け、僕がもつ煮込みを知り、味を覚えた元祖の味が此方。

  大学生時分、通学の乗り換えで途中下車し、鉄火場帰りの歯の無い親爺が、

  競輪新聞片手に自棄酒を呷る脇で大人しく、「もつ煮込み定食」を頂いた。

  そんな青春時代の味を、こうして今、自棄酒を呷る側の人間に成って味わう…。

  歯はちゃんと有るので、もつを確りと噛み締めて味わう。

  当時とは若干味は変わったが、蜂の巣を始め、様々な部位が煮込まれており、

  具は蒟蒻と生姜と簡素で、まったりとして円やかな味わいが特徴的。

  練り辛子が添えられ、此れを塗し乍らちびちび頂く。

  周囲は十七時前と言うのに、早くも酒を飲る月給取りの姿も多く、出来る事なら、

  其の会社に通報してやりたい…。

  そうこうして居ると、十七時も廻り、五二〇円の会計を済ませ、一次会へと向かう。

「らーめん 元楽」【蔵前】

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◆「らーめん 元楽」【蔵前】

 

 ◎「特製元らーめん」六五〇円

 

 …颱風は過ぎ去ったものの、颱風一過の猛烈な狂った暑さに打ちのめされ、

  更には、バーチーでは停電、断水と豪い事に成っているとか。

  昔よりも災害に晒される事が増えた様に感じ、身の危険を脅かされる事も屡々。

  益々、生きるには過酷な世の中に成って来ている…。

  そんな中、真ん中もっこり水曜日の今日は、又しても、昼御飯は独りぼっちで、

  生きたい店に行き、食べたい物を食べられる機会に恵まれる。

  十三時の一〇分前に屋外に出れば、刺す様な殺人光線が痛い程。

  陽射しで身体中の背脂が融け出す中、向かった先は此方。

  六月四日以来、三ヶ月振りと随分と御無沙汰で、久し振りに給油に御邪魔する。

  店内を覗けば、券売機前で間誤付いている中年が居り、暫し店外で待機。

  片付いた所で、年季の入った木戸を開けて店内へ。

  券売機で何時もの食券を購入し、熟年の店員氏に手渡せば、何時も通り、

  「背脂たっぷりのラーメンですが?」と訊かれるが、 全く以って愚問だ。

  支障無い旨を伝え、冷水を汲み、止まり木にヨッコイショーイチ。

  冷水を呷り、混雑しているのでゆっくりと待つとしよう。

  すると、三分程で、自棄に早く配膳される。

  随分と早いなと訝しく思うも、早い分には嬉しいので、さっさと頂こう。

  先ずは蓮華を手に取り、プースーから啜ろう。

  表面には淡雪の様な背脂が降り注ぎ、色はロイクーだが、此れが吃驚する程、

  あっさりとして諄くなく、塩辛さの無い甘味さえ感じる味わいに唸る。

  店内に醤油の薫りが充満しているが、濃い味ではなく、上品さすら漂う。

  コクが有り、香ばしい醤油ダレは切れ味は鋭いが、角の取れた円やかさ。

  豚骨スープには、豚骨の中でも大腿骨である拳骨だけを使用し、

  軟骨部分が多く、膠原質を多く含んでいる為、長く煮込むと車厘状に成り、

  円やかな味になると言い、徹底的に灰汁を取り乍ら、野菜、鶏ガラ等と一緒に、

  三日間煮込み、濃厚なスープを作り出すと言う触れ込み。

  主役とも言うべき背脂は、厳選した物を炒め、下茹でし、手洗いして、

  余分な脂肪や汚れ、灰汁を取り去り、豚骨スープで二時間煮込むと言う。

  甘味が有って、芳醇な味わいに虜に成ってしまう。

  そんな中、右方に座っている月給取り風の客が、自分のラーメンが来ていないと、

  厨房内の老練な店員氏に苦情を入れており、推測だが、僕に供されたラーメンが、

  本来は其の客に出される物だったのではないかと察する。

  何だか、丸で僕が悪いかの様な雰囲気に、一気に美味しいラーメンが台無し…。

  僕が逆の立場なら、基本、啼かぬなら 啼く迄待とう 不如帰、なので、

  苦情を言う事自体有り得ないが、何だか心がぞみぞみしてしまう。

  順番を間違うのは良くないが、態とではないのだから文句は言いたくないわね…。

  嗚呼、気持ちを切り替えないと駄目だ。

  はと言うと、此方では五種類の麺を使い分けていると言い、

  此の「特製元らーめん」には、中太の真っ直ぐな麺を使用している。

  麺が淡雪の様な背脂を絡め取る様に、確りと纏わり付いて来る。

  具の叉焼は、厳選した豚のバラ肉を使用し、丁寧に一本ずつ筋切りして、

  余分な脂身を削ぎ落とし、一九九五年の創業以来受け継がれて来た秘伝のタレで、

  肉の美味しさを閉じ込めたと謳い、一本二八〇〇円で店内でも販売している程。

  蕩けると言う感じではないが、プースーの熱で戻され、箸で切れる程に軟らかい。

  具は他に、濃い目の味付けが良いロイクーな麺麻、茹で玉子半個、葱。

  すっかり「こぶためし®」は我慢出来、ラーメンだけで十分な身体に。

  最後はプースーを飲み干し、満杯に給油し、汗だくで退店する高燃費おぢさん…。

「博多ラーメン ガツン 本所本店」【蔵前】

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◆「博多ラーメン ガツン 本所本店」【蔵前】

 

 ◎「全部入りラーメン」七八〇円+「替え玉」無料

 

 …生きる頼みの綱の週末の休日も、いとも簡単に終焉を迎え、週が明けてしまう。

  有り触れた毎日が訪れるが、昨晩からの颱風に因る暴風雨で、夜中も五月蠅く、

  窓に叩き付ける雨風と、雨水管を流れる水の音に熟睡も出来ずに朝を迎える。

  端から國鐵は走るのを放棄し、八時から動くとの報を受け、朝から悩んでしまう。

  こんな中、普段は脆弱で真っ先に力尽く埼玉新都市交通が平常運転と聞き、

  雨は止んだが風が吹き荒れる中を歩いて出掛け、何とか大宮駅に辿り着く。

  改札口の外には、手立てを失った群衆が溢れ返っているが、一先ず改札内へ。

  然し、此処は交通の要衝・大宮駅。

  駅員が言うには、非接触集積回路定期券に一〇〇〇円が入って居さえすれば、

  新幹線の改札を通過出来ると言う甘い囁き、否、単なる営業話術に引っ掛かり、

  八時十九分発「なすの」二六六号に乗車すれば、其りゃもう、空いていて快適さ。

  八六〇円を払ってでも、地獄絵図の様な鮨詰めの電車に乗らずに済み、

  心身の疲労を考えたら安いもので、九時過ぎには出勤出来、事無きを得る。

  こんな状況なので、昼御飯は独りぼっちで摂る機会に恵まれる。

  十三時四〇分に屋外に出れば、突き刺さる様な陽射し、焼け焦げる様な暑さで、

  呼吸をすれば気管支が火傷をして爛れそうで、汗を拭き拭き河を渡ろう。

  脱北者宜しく、スミダ河を決死の覚悟で渡り、スミダ区へ亡命を果たす。

  目指す先は、以前から、其の存在だけは認識しており、先週初めて、

  御歴々と共に御邪魔した此方へ、二週連続、二度目の訪店。

  木戸を開けて店内に入れば、豚骨ラーメン店らしい獣臭、家畜臭が充満する。

  先程、熱波で焼け爛れた気管支を癒すべく、思い切り此の香りを深呼吸。

  先ずは券売機で食券を購入し、端っこの止まり木にヨッコイショーイチ。

  食券を提示し、冷水を呷り、出来上がりをヂッと待つが、店内の音楽は財前部長

  厨房内は男性店員氏一名体制で切り盛りしている。

  そうこうして居る内に、五分程で盆に乗せられたラーメンと、別皿の具の御出座し。

  数日振りの対面だが、正しい豚骨ラーメンの佇まいに心躍る。

  別皿の叉焼一枚、味付け玉子、明太子、海苔五枚を移し、卓上の紅生姜、

  擂り胡麻を投入したら、先ずは蓮華を手に取り、プースーから啜ろう。

  御覧の通り、外気に触れて、表面の膠原質、油分が凝固して行く様が素晴らしい。

  一口啜れば、初めて頂いた時にも感じたが、豚骨の出汁の力強い味わいは、

  一瞬、「極楽汁麺 百麺」を思わせる動物系の濃密さと風味を髣髴とさせる。

  下茹で、灰汁取り、長時間圧力煮込みに依り、豚骨を粉砕して裏漉しする為、

  背脂を入れた様な円やかな仕上がりで、豚骨から抽出された髄と言う。

  純度一〇割の豚骨は、円やかで滑らかな口当たりも、野性味溢れる味わいも主張し、

  通常の「ラーメン」は五三〇円と言う費用対効果は抜群で、素晴らしいの一言。

  其れも其の筈、「多田製麺所」の直営店と言う事で、麺の経費が削れるからだろう。

  其の麺は、季節や気温、湿度、水温の変化に応じて、日々、加水量等を吟味し、

  豚骨スープと相性抜群の低加水麺を製造していると言い、特に夏期は気候を考慮し、

  鮮度保持性の高い冷蔵貯蔵で麺を熟成させ、旨味が凝縮した状態を維持との事。

  もそもそとした感じの細麺は、粉の風味も感じられて良いじゃないか。

  具の叉焼二枚は薄っぺらだが、博多ラーメンらしい仕上がり。

  味付け玉子は固茹で気味だが松崎しげる色で、黄身の中心部はねっとりとしている。

  明太子は箸休め的な感じでも頂け、「九州じゃんがら」っぽさも受ける。

  海苔が五枚と言うのも大奮発だな。

  さて、流石は製麺所の直営だけあり、替え玉が一回無料と言う大盤振る舞い。

  然も、嬉しい事に「粉落とし」は勿論、「湯気通し」迄有るから感激。

  其の「湯気通し」で御願いすれば、茹で時間二秒、菜箸で勢い良く撹拌して笊揚げ。

  そして、差し出した丼へと入れて呉れ、此れを啜ると言うより、喰らい付く。

  生と言って良い麺は、噛むと歯にくっ付く程で、治療中の詰め物が取れそうだ…。

  「よかろうもん」で豚骨ラーメンの何たるかを覚えてから二〇年経つが、

  濃密で重厚な豚骨スープと、茹で時間に依って変幻自在の細麺は魅力的だ。

  最後はプースーを飲み干せば、丼の底には、膠泥を乾かして削った様な、

  建築資材を思わせる骨粉、髄が沈殿しており、其れも残らず頂くぽんこつおぢさん。

  

「つけ麺 欣家」【西台】

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◆「つけ麺 欣家」【西台】

 

 ◎「スペシャルつけめん」一一六〇円+「麺中盛り(100g)」一〇〇円

 

 …生きる支えだった週末の休日も、颱風と共に過ぎ去ってしまおうとしている。

  昨日は「鈴木茂☆大滝詠一を唄う!!Tribute live」の切符も買えず、

  悲嘆に暮れ、絶望の突端に立たされ、夕方は歯科医に掛かり、何も良い事が無く、

  此の先一体、如何やって生きて行けば良いのか、そして僕は途方に暮れる…。

  今朝は八時前に、ぐったりとして起き出し、寝起きなのに疲労感満載。

  午前中は極めて自堕落に、非生産的に、朝寝をしつつ過ごす。

  十一時半に成り、未だ、颱風がいらっしゃる気配も無いので、休日最後の昼餐に、

  少し足を伸ばして、つるつるした物を啜りに行こうと思い立つ。

  何を頂こうか、其の前に一時間以上悩み続けては居たのだが…。

  結局、悩みに悩み、今から十数年前に一度だけ御邪魔した事の有る此方へ。

  当時はこってりとした豚骨ラーメン命で、魚介系の旨さ、其の何たるやも分からず、

  何と無くの印象しか残っていなかった為、今改めて、じっくりと味わってみたい。

  尤も、此方は成増の名店「中華めん処 道頓堀」の味に魅せられて、

  御主人が独学で完成させた様なので、間接的に「道頓堀」の味も堪能出来そう。

  きっと大行列だろうから、とてもじゃないが無理なので…。

  颱風接近の影響か、国道十七号線新大宮迂回路も順調に流れ、十二時半に到着。

  近隣の時間貸し駐車場に停めて向かえば、店外に待ちは無く、木戸を開けて入店。

  生憎の満席の様なので、椅子に座り、献立表を眺めて暫し待ち、其の間に発注。

  一〇分程で席が空いて案内されてヨッコイショーイチし、冷水を呷る。

  十三時を廻り、店内のテレヴィヂョンは男子孔球中継へと変わり、

  空腹感も高まった所で、十数年振りの御対面と成るつけ麺の御出座し。

  いやはや、具の盛り沢山加減と来たら、此りゃ心丈夫で頼もしい。

  先ずは、其の大量の具をつけ汁に移すが、バラ肉を巻いた叉焼一枚、大量の麺麻、

  海苔二枚を入れた所で、既に警戒水位を超え、決壊寸前と成ったので一旦中止。

  麺を浸す余地だけを残し、麺を手繰って浸して啜る。

  つけ汁は表面に油層が構築されており、こってり感が有り、香味油たっぷり。

  九十九里産平子煮干し、天然利尻昆布、厳選した鰹節、鯖節をふんだんに使い、

  調和が取れたスープと謳うつけ汁は、魚介の旨味が漲り、出汁が迸る旨さ。

  当時の味わいとは随分と異なる印象だが、新規開店した当初、最初に頂いた時は、

  いわき産の目光を使用した出汁だった様で、東日本大震災を境に材料調達に苦慮し、

  試行錯誤の結果、今の此の煮干しを中心とした出汁を編み出した様だ。

  麺は中太のつるつるとした口当たりの艶やかな自家製麺

  箸で手繰るのも難儀しそうな程の光沢感を持った多加水麺で、瑞々しさが有り、

  もっちりとした腰と弾力も有り、全卵を使用し、小麦の風味も豊か。

  中盛りで三五〇瓦と言う量だが、するすると入って来る。

  具はつけ汁には最初から刻み叉焼、麺麻、茹で玉子半個、海苔一枚が標準装備。

  其処に更に、バラ肉を巻いた叉焼一切れ、豚の角煮の三枚肉の様な叉焼二切れ、

  更なる追い麺麻、味付け玉子、海苔二枚、若布と強力な布陣。

  肉は叉焼と言うより、色白で煮豚と言った趣きで、味付けは薄目だが、

  つけ汁の熱に因って脂身は蕩け、赤身の部位はしっとりとして軟らかい。

  麺麻は此方では「竹の子」と呼び、シャキシャキとした歯触りで上品な味付け。

  味付け玉子は黄身がどぴゅっと飛び出しはしないが、半熟加減でねっとり濃厚。

  若布は「道頓堀」のつけ麺に倣った形か。

  此れだけ具が充実していると、明日からの一週間、乗り切れそうな錯覚に陥る。

  錯覚でも何でも良いから、平穏無事に過ごせれば良い。

  最後はつけ汁をグイッと飲み干して腹がくちいが、会計を済ませて退店。

  明朝は始発から國鐵は運転を放棄すると言うが、勤めに出られるのかしら…。

「麺屋 六文銭」【宮原】

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◆「麺屋 六文銭」【宮原】

 

 ◎「もりそば(中盛)」八九〇円+「トッピングチャーシュー(40g)」二〇〇円
  +「味付け玉子」一一〇円

 

 …今週も息も絶え絶えに成り乍ら、何とか生き永らえて週末の休日に逃げ込む。

  そんな週末も、颱風さんがいらっしゃるとかで、日曜日は潰れたも同然。

  家で大人しく、体育座りをして膝を甘噛みし、すんすん泣くより他無い。

  夢も希望も無い毎日に、何とか生きる糧を見付けようとしている所に舞い込んだ、

  十一月二十三日の「鈴木茂☆大滝詠一を唄う!!Tribute live」の報。

  先行予約は二度外れ、今朝一〇時からの一般発売に賭け、時間丁度に駆け込むも、

  全く繋がらず、数分後に繋がった時には予定枚数終了の宣告。

  僅か三〇〇席程の会場の切符を取ると言うのは酷だ。

  土曜日の朝から、生きる希望を見出そうとして居た道を断たれ、敢え無く轟沈…。

  垂れ流しの人生を送る事が決定し、午前中は抜け殻の様な廃人同様の生活。

  十二時半に成り、明日は颱風で出られないので、買い出しがてら昼御飯。

  八月三日以来、一ヶ月振りの定点観測の此方へ御邪魔する。

  硝子戸を開けて店内に入ると、客は誰も居らず、静かに食事が出来そうだ。

  券売機で一通り食券を購入し、女将さんに手渡し、止まり木にヨッコイショーイチ。

  冷水を汲み、呷り乍らゆっくりと待つも、後から年端も行かない糞餓鬼を連れた、

  倖せを演じた仮面家族が二組襲来し、店内は一気に自由な雰囲気が支配する。

  止まり木の食卓をバンバン叩くわ、足で蹴るわ、馬鹿親も叱るでもなく窘める程度。

  糞餓鬼を作ったら作りっ放しで、まあ、御里が知れるわね。

  精々、人様に迷惑を掛けるなんて事が絶対に無い様、頑張って躾をして呉れ給え。

  さて、そんな苛々を緩和して呉れる様に、女将さんが配膳して呉れる。

  一ヶ月振りなので、随分と久し振りの感じがするが、つけ麺に集中しよう。

  先ずは麺の上の叉焼、茹で野菜、海苔をつけ汁に移す事から始める。

  麺の上がさっぱりした所で、麺を手繰り、つけ汁にドヴンと浸して啜る。

  嗚呼、此の甘酸っぱくも、円やかでコクの有る、角の取れた味わいが最高だ。

  出入口の壁上に飾られた、故・山岸一雄氏の写真が物語る通り、

  「東池袋大勝軒」で修業、研鑽を積んだ御店主の実直な仕事振りが味に滲み出る。

  国産素材のみを厳選した完全無化調に拘り、滋味溢れる旨味が迸る。 

  動物系の出汁は、豚背骨、鶏胴ガラ、拳骨、鶏油、豚背脂、豚頭骨、鶏足、

  鶏頭から炊き出され、円やかでコクの有る味わいが冴え渡る。

  麺は、旧「六文銭」、現「フレンチバル セゾニエ」で打たれた自家製麺

  昨年春頃から、既製の全粒粉から、自家製の全粒粉に変えたとの事で、

  玄小麦を仕入れ、より香ばしくする為に炒り、石臼挽きしていると言う拘り。

  澱粉等の混ぜ粉を使い、茹で時間を短縮し、もちもち感を出す事も出来るが、

  小麦本来の香り、風味が損なわれるので其れをせず、麺を口に入れた瞬間、

  広がる小麦本来の香りと風味全てを引き出す為、北海道産一〇割で、

  全粒粉を始め、四種類を独自に配合していると言い、麺自体に旨味が有る。

  僅かなざらつきと滑りが心地好く、風味豊かで腰と弾力が伝わって来る。

  もっちりとして、噛むのが愉しい麺だ。

  「中盛」で三六〇瓦だが、ぺろりと平らげられそうだ。

  さて、具の叉焼は増したので、六切れと心強い。

  大きさや厚味こそ無いが、確りと味が染み込み、つけ汁の熱で脂身が蕩け、

  那須高原豚の肉質の良さが堪能出来、自動車でなければ一杯飲りたい気分。

  味付け玉子は齧れば黄身がどぴゅっと飛び出そうで、ねっとりと濃厚。

  矢張り、最高だな。

  出来る事なら、「赤星」を手酌で飲り乍ら、「もりチャーシュー」一一〇〇円に、

  「味付け玉子」一一〇円、「青森生にんにく」一一〇円、「メンマ」一一〇円、

  「キャベツ」一一〇円、「のり」六〇円、「生たまご」六〇円を頂きたい…。

  一六六〇円のつけ麺を頂くには、石油でも掘り当てないと無理だな。

「小林 旭プレミアムコンサート」@サンシティ越谷市民ホール

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我が敬愛する大滝詠一師匠が亡くなって、今年の年末で五年。

其の師匠が敬愛し、「熱き心に」を提供したのが御存知、マイトガイ、小林 旭。

其のアキラも、今年の十一月三日で八十一歳。

言い方は悪いが、観られる内に観ておこうと、生で「熱き心に」を聴く為に、

遥々、サンシティ越谷市民ホールへと出掛ける。

想像通り、会場はと言うと、墓地の売り出しか、健康器具の催眠商法に集まった様な、

後期高齢者が佃煮にする程に居り、老朽化で建て替えが決まった此の古い施設では、

老人に過酷な試練を与えるので、誰一人、支え無しに急な階段を昇降出来る客は無く、

膝の痛みを押して、肘掛けを伝い乍らヨッコラセ。

一六七五席の会場は加齢臭や線香、防虫剤や入れ歯安定剤の臭いが充満し、

恐山の様相で、正直、此の会場内で僕が最年少なのではと思う程。

前から十四列目の良い席で、アキラの御尊顔も確りと拝する。

 

●「小林 旭プレミアムコンサート」@サンシティ越谷市民ホール

 1.翔歌

 2.素晴らしき哉人生

 3.あれから

 4.惚れた女が死んだ夜は

 5.雪散華

 6.昭和恋唄

 7.北帰行

 8.さすらい

 9.ギターを持った渡り鳥

10.ダイナマイトが百五十屯

11.アキラのソーラン節

12.アキラのデカンショ

13.アキラのツーレロ節

14.アキラのダンチョネ節

15.アキラのズンドコ節

16.自動車ショー歌

17.昔の名前で出ています

18.ついて来るかい

19.北へ

20.駅

21.星屑ホテル~夢去りぬ

22.風の旅人

23.人生思い出橋

24.熱き心に

 

全身真っ白の舞台衣装、真っ白の琺瑯の靴、襟の大きな鮮やかな紫の襯衣で登場。

随分と恰幅が良くなったが、矢張り、往年のスタァは違うわぃ。

素っ頓狂と言われた高音の声は衰え知らずで、存分にアキラ節を堪能。

緞帳が上がり、二〇〇四年のシングル盤、作詞・阿久 悠、作曲・宇崎竜童の「翔歌」。

一曲歌っては喋りと言う形で進行し、デヴューからを振り返る回顧録的な内容。

御嬢の話題が出ての「惚れた女が死んだ夜は」はジンと来る。

そして、「ダイナマイトが百五十屯」からは、背後の楽器隊が立ち上がり、

木管金管楽器が響き渡り、調教スカトロダイスキオーケストラ、もとい、

東京スカパラダイスオーケストラとの「アキラのジーンときちゃうぜ 」を思い出す。

其処からは、昭和三十五年以降の「アキラの~」と冠したアキラ節全開。

船村 徹や遠藤 実等の名曲が甦り、矢張り、アキラは格好良いナァ。

自動車ショー歌」では背後の映写幕に往年の名車が、歌詞の順に映し出される演出。

日活の倒産や、多額の借金と言う暗黒時代から復活した「昔の名前で出ています」、

此れには会場からも喝采で、自身最大の売り上げ枚数を誇るシングルだけある。

そして最後は、何はさて置き、「熱き心に」で締め括る。

生で大瀧詠一師匠作曲の名曲が聴けるとは、長生きはしてみるものだ。

盛大に転調した後の大サビの「オーロラの~」では流石に鳥肌が立ち、興奮も最高潮。

閉演後は、急な階段に難儀する後期高齢者に混じって外に出る初期高齢者…。