◆「手打ち蕎麦処 東都庵 駅前店」【上田】
…昨日。
金曜日に総合的健康診断の為に有給休暇を充てたので、実質四連休中。
既に、残り僅かな蟬の命の如く、風前の灯火と言った週末の休日。
此の連休一番の催しは、上田へと足を伸ばす事。
「ニッポン城めぐり」に於ける上田城攻略、真田氏登用を始め、
「ケータイ国盗り合戦」の「夏の陣」に於ける白糸の滝も制覇しようと試みる。
其れともう一つは、玉子を買いに行く事。
子供の時分、夏休みに上田の祖父母の家に出掛け、朝御飯で食べた生玉子の味と、
数年前に「上田東急REIホテル」に宿泊し、朝食で頂いた生玉子の味が同じで、
普段、日常生活で頂いている生玉子の味とは異なり、郷愁も相俟って非常に旨く、
是非とも、其の玉子を探し当てたいと思い立ったので…。
朝は八時に出立し、東松山出入口から関越自動車道に入り、藤岡の分岐から、
上信越自動車道に入り、佐久出入口から出たのは十一時前。
東信地方で有名な玉子の販売所「ちゃたまや」に行けば手掛かりが有るかもと、
二種類の玉子を購入したら、さあ、昼御飯だ。
上田と言えば蕎麦、蕎麦と言えば「刀屋」と決まっている。
正午の五分前に到着すれば、ん!?行列が無いぞ。
ぢぇぢぇぢぇ!何てこったい、定休日…。
三連休だから営業しているだろうと、全く疑わず、確かめなかったら此の始末。
相変わらず、粗忽と言うか、運が無いと言うか、生きているのが嫌に成る…。
さて、次の当てを探さないといけないが、過去に御邪魔した事の有る此方、
上田城向かいの「本店」ではなく、「駅前店」へ。
営業して居そうなので、時間貸し駐車場に停め、地下に在る飲食店街に向かう。
暖簾も出ており、空席も有り、やっとこさっとこ、何とか落ち着く…。
◎「馬刺し」一〇〇〇円
…さて、献立表を捲り、何を頂こうか物色して発注。
二〇一〇年三月十七日に出張で訪れた際も頂いた、信州名物の馬刺し。
自動車なので呑めないのが悔しいが、肉を生で頂ける機会は逃さない。
件の様に、子供の時分、盂蘭盆会に祖父母の家に行った際の食卓に、
馬刺しが必ず並び、信州で暮らした事は無くても、随分と身近な存在だ。
薬味は卸生姜と卸大蒜が付いており、夫々をタレに溶かして頂く。
口に入れると、ひんやりとして、此れを噛み締めるとねっとりと濃厚で、
じんわりと脂が融け出し、口内が旨味に乗っ取られる。
赤身の部位なので、確りとした噛み応えが有るが、噛めば噛む程に旨味が増す。
嗚呼、此れを肴に蕎麦焼酎の蕎麦湯割りを飲りたい…。
◎「もり」七〇〇円
…馬刺しの旨さに打ちのめされていると、蕎麦の御出座し。
蕎麦は奇を衒わず、潔く「もり」、此れに限る。
蕎麦つゆに薬味の大根卸、葱、山葵を投入したら、蕎麦を手繰って啜る。
勿論、つけ麺の様に、つけ汁をドヴンとは浸さず、三分の二程で。
チンカチンカに冷たく、確りと冷水で〆られており、仕事に抜かりは無い。
蕎麦つゆはきりっとした辛目の味わいで、淡麗で引き締まった感じ。
さっぱりとして、蕎麦の冷たさと相俟って涼やかで良い。
蕎麦は「刀屋」に比べると細いが、手打ちだけあり、不揃いな感じに好感が持て、
ぽきぽきと音がしそうな腰が効いており、程好い滑りで口当たりが良い。
際限無く、するすると喉元を通り過ぎて行き、二、三分で啜ってしまう。
創業明治二〇年と言う老舗だけあり、店内には池波正太郎、三遊亭圓生等、
名立たる著名人の色紙が有り、其の歴史も感じ取る事が出来る。
最後は蕎麦湯を堪能し、玉子探し午後の部に向かう高血清脂質おぢさん…。